妄想世界に屁理屈を。
去っていったのを見計らって、スズがこちらを振り返る。
そして。
「アカネさま、なんで人間なんかについてるんですか?
私にお憑き下さい!」
「あ、それ名案。
そーしてもらえよ」
“いや。あんたにはこれからしてもらうことがあるしよー”
ぶっきらぼうに言い放ちやがった。
な、なんだよしてもらうことって。
怖いな、なんか殺されたりしねえだろーな。
“だいじょーぶ、殺しやあしないよ”
「それならよかった…」
“それより柚邑、右に行け”
いきなりなんだぁ!?
「な、なんだよ…!右?なんかあんのか?」
“帰りたくねーの?”
「あ…」
あまりにも周りが非現実で忘れかけてた。
俺は山登りに来てて、その途中でこうなって…
って言うことは、右に行けば帰れる道につくってわけだ。
いまさら気付いたせいか、背中のリュックが重く感じられた。
「アカネ、俺探したいものがあるんだけど」
“帽子だろ?スズ”
「かしこまりました」
話はやっ!