妄想世界に屁理屈を。

去っていったのを見計らって、スズがこちらを振り返る。

そして。


「アカネさま、なんで人間なんかについてるんですか?

私にお憑き下さい!」


「あ、それ名案。
そーしてもらえよ」


“いや。あんたにはこれからしてもらうことがあるしよー”


ぶっきらぼうに言い放ちやがった。


な、なんだよしてもらうことって。

怖いな、なんか殺されたりしねえだろーな。


“だいじょーぶ、殺しやあしないよ”


「それならよかった…」


“それより柚邑、右に行け”


いきなりなんだぁ!?

「な、なんだよ…!右?なんかあんのか?」


“帰りたくねーの?”


「あ…」


あまりにも周りが非現実で忘れかけてた。


俺は山登りに来てて、その途中でこうなって…


って言うことは、右に行けば帰れる道につくってわけだ。


いまさら気付いたせいか、背中のリュックが重く感じられた。


「アカネ、俺探したいものがあるんだけど」


“帽子だろ?スズ”


「かしこまりました」


話はやっ!


< 24 / 631 >

この作品をシェア

pagetop