妄想世界に屁理屈を。
「驪さまの首につけているネックレス、柚邑気づいた?」
「あ…ああ、うん。水晶みたいなでっかいやつでしょ?」
小さい体躯に似合わない大きさのあれ。
紐というか綱で留められているあの玉、重そうだなあって思ってたんだ。
「あれを手にしたものは、幸せになれるんだって」
うわあ、よくある占い商法みたい。
胡散臭さ丸出しに顔を歪めた俺に、むっとスズは顔を曇らせる。
信じてないな?と。
「聞けば、この世の全てを手にできる……とか」
「嘘くさ」
“なー?”
アカネまでもが同意した。
“なんで私のお父さんが、そーんな大事なもの持ってるかっちゅーとだな”
すぅっとアカネが抜けて、本を指すような仕草をする。
「これだ」
アカネの指先には、
【青龍】
の文字があった。