妄想世界に屁理屈を。
「その他に、もうひとつあるの」
人差し指を立てて、どこか先生みたいに。
「ネックレスから、もうひとり“僕”が現れる」
「僕?」
「僕の能力は頭。
だから、頭がよくて行動力のある“僕”がネックレスの中から出てくるんだ。
ちなみにその“僕”に感情はない。
あるのはプログラミングされた事を実行するという使命と、的確な判断能力をする頭だけ。
まあそれは奥の手で、強制執行しなくちゃならないときとかに使うんだ。
普段はこうやって僕の行動をプログラミングして身代わりにしたりして使ってる」
例えば。
ものすごい事件が起きて、アカネや苑雛くんらが嫌だと思うことをしなくちゃ助からない、というとき。
そういう時に強制執行は使うのだ。
普段はただのお人形。
だけど、強制執行を押せば、苑雛くん2号は敵(感情的に)にも味方(結果論的に)にもなってしまう。
鳳凰の能力って変わってるなあ…
「だから心配は無用だよ!」
明るく笑う苑雛くんの頭を撫でてやる。
金髪が美しく照らされた。