妄想世界に屁理屈を。
「苑雛さま、あの、驪さまについて語って頂きたいのですが」
「まったくもぉ…アカネが話半分にしか聞いてないから」
“だって長ぇんだもーん”
あ、アカネ聞いてないんだ。
“難しすぎて覚えらんねー”
「黒庵もそう言ってた!似た者夫婦が!」
あっ、と。
口を抑える。
禁句を口にした、というように、気まずそうに顔。
「あ…ぅ」
“バーカ、気にしねーよ”
にやりと笑いを含んだ声が聞こえた。
“鸞にも言っとけ、大丈夫だってよ”
「…うん、ごめん」
…鸞さんに、言われたんだ。
黒庵さんについては口にするな、と。
アカネはそれを見越してる。
優しい気遣いに、ちょっとだけ胸が暖かくなった。
「じゃあ、説明するね?
どこまでおね…おにーさんは知ってるのかな」
慣れて、苑雛くん。
俺本当はおにーさんの方だから。
「驪さんが龍ってことまで。あ、あと青龍がおじーちゃんだって、アカネが」
「…アカネ、またそうやっていい加減に教えて。説明不足も甚だしいよ」
“うわーんっ苑雛が怒るー”
全然びびってない、むしろなめてる態度のアカネだった。