妄想世界に屁理屈を。
「…あ」
向こうも俺の存在に気づいたらしい。
きゅう、と転んだ小さい白髪を持つ子を抱き締めた。
守るように、隠すように。
どうやら二人は姉妹らしい。
姉のポニーテールの方はスズより少し年上な程度で、下の妹の方は苑雛くんくらいの年齢か。
はあはあと肩で息をしながら分析をしていると、姉が小さく声を出した。
「ご、ごめんなさい…!」
「え?」
謝られた?
意味のわからない謝罪に、首を傾げてしまう。
「だって……弥生(ヤヨイ)に任せるっていうから!悪いのはそっちなんだから!」
「な、なんの話?」
「え…?」
「俺らはただ、君に似てる子を知ってて、それで…」
…タマじゃない。
口調も声も仕草も、タマじゃない。
けど、絶対に無関係じゃない。
この子たちがタマと無関係な訳がない。
「な、なんだ…」
へたりと、彼女は座りこんでしまった。
――何かに追われてたのか?
見たところ、そうとしか思えない。