妄想世界に屁理屈を。
むく、と本から顔をあげる苑雛くん。
あ、忘れてたという顔。
「…そっか。おねーさん…そうか、そうだもんね」
「え?俺?」
俺のことですか?
「…一瞬おねーさん仲間(神様)みたいに思ってた…馴染みすぎてる」
「……」
あれ、嬉しいような嬉しくないような。
たしかにかなり異界に馴染んでる気がするけど…
「ゆーちゃんは人間ですよ、苑雛さま!だってからあげ食べるんです!この鬼畜!ロリコン!」
「す、スズ!あれはすまなかったって!あとロリコンじゃない!」
ぺちぺちとちっちゃいお手手で殴られる。
節分のときに豆まきで鬼役やらされた時の痛みだ。ちなみに幼稚園の時。今から思えばいじめだ。
ワーワーと騒いでる俺らを、じっと睨めつける苑雛くん。
なんだ?と顔を向ければ、苑雛くんは真面目な顔をして口を開いた。
「…おねーさん、なんでタマの白髪を知ってるの?」
「え…」
驚いた。
そんなこと聞かれるとは思わなかったから。
「そ、そーいやあ…なんでだ柚邑?」
アカネも今思い出したらしい。
不思議そうな顔をして聞かれる。
「あー…夢で…」
「夢?」
「柚邑からゆーちゃんに変わる際に夢を見るんだ。アカネの記憶みたいなんだけど」