妄想世界に屁理屈を。
「そう。別に四神の力を必要としてるんじゃないんだよ!
四神の力が目当てじゃない。ただ、スズが目当てだったとしたら?」
「…私?」
スズが自分を指差す。
スズが目当て?
「仮説も良いところだけど、ね?
スズには居場所がある。
鳳凰の家族という居場所が。
その場所を目当てにしたという可能性は、ちょっと無理があるかな?」
なんで、鳳凰の家族の居場所なんかを…
“ま、まさか、安倍晴明のやつ――!”
アカネは、安倍晴明の狙いがわかったらしい。
息をのみ、憤慨している。
その様子を耳に入れた苑雛くんは、ニヒルに笑って。
まるでマジシャンが種明かしをするように、こう言った。
「安倍晴明はね、我らがお父さんの水晶が欲しかったんだ。
つまり――新しい神話の最高神になりたかったのさ」