妄想世界に屁理屈を。
「た、竹取物語に?」
かぐや姫になにかあったっけ。
「かぐや姫は、結婚の条件として5人の男に宝物を要求した。
そのうちの一人を安倍晴明の祖先をモデルにしてるのは知ってる?
右大臣あべのみうしは、阿倍御主人(アベノミウシ)って言う実在する人物なんだ」
「へぇ…」
いたっけ、そんな人。
まったく覚えてない。
「彼は火鼠の皮衣をかぐや姫から要求された、と書いてあるんだけど」
「だけど?」
「五色の龍の珠を持ってこいと言われたという説もある」
昔の文献だと、文が抜けたりして解読できないものや、学者によって解釈が違うなどのトラブルがあるって国語で聞いた。
だけど。
「それ間違えちゃいけないでしょ…」
「まあまあ…昔の話だし」
あどけない笑みを見せる苑雛くん、可愛い。
“…龍の珠ってお父さんの…”
「うん。お父さんの水晶。五色の珠って間違えて言われてるみたいだけどね」
五色の珠……また間違えて使われちゃってるのね。