妄想世界に屁理屈を。
“アカネさまぁ…”


しゅん(ちゅん?)、と悲しくうつむいて。



“けれども、私を生み出したのはあなたです。

同時に私はあなたの所有物。

その不能な人間が使えなくなったら、容赦なく私を使用して下さい”


全く関係ないかもしれないが、スズの首(?)に糸が絡まっているのは、なぜだろう。

首輪、みたいな――黒い光沢のある綺麗な糸。

さっきからめちゃくちゃきになる。


“使わねーよ、スズなんか”


めんどくせ、と毒づく。

なんか知らないけど暖かった。



たぶんスズは、肉体のないアカネに体を提供しようとしてるのだ。


目の前の、荼枳尼天を倒すために。



アカネはそれを嫌がっている。


理由は簡単、スズが好きだから。


娘みたいに可愛いのか、言葉が一つ一つやけに暖かいのだ。



(心臓、女、なる、いちばん、なる)



なんて和んでる場合じゃなかった。



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