妄想世界に屁理屈を。
手をかざすようにして、目を瞑る。
その時だった。
“――必要なの?”
声が聞こえた。
アカネかと思ったが、声からしてアカネじゃない。
小さくて可愛らしい、そう。
「え、苑雛く、」
「必要だよ。創ってくれるかな」
“――仕方ないなあ…”
声と同時に髪の毛が、金色に輝く。
意思を持ったように伸び、形を繋げ、何やらぐにゃぐにゃと移動していった。
やがてそれは、俺のシルエットになり、どんどん形作られ――
「うわあ…」
“なんかキモーい”
感嘆する俺と、気持ち悪がるアカネの目の前に、『俺』が現れた。
男バージョンの『俺』は、死んだように目を瞑っている。
なぜか制服を見にまとっており、デクノボウで立ちすくんでいた『俺』は、ふらりと倒れた。
「うわぁっ」
急いで抱き抱えて支える。
重みも温もりもあるし、ほくろの数まで一致している。
気持ち悪いほど似ていた。
「…すご…」
「当然じゃ!苑雛が創ったのじゃからなっ」
どや顔をしたのは、なぜか鸞さん。