妄想世界に屁理屈を。
「柚邑?なんかあったか?」
厘介が不思議そうに言うのも意識の外だ。
「あ、アカネっ…」
また一歩歩み出した荼枳尼天にすっかり怯え、声に出してしまった
。
“…しゃぁね。ちょっと退け”
退けって一体…
次の瞬間、動けなくなった。
いや、マジで。
息を吸おうとして口や鼻を使うと、息を吸っているつもりが吸っていない。
つまり、体が反応しないで意識のみでしている“つもり”になっているのだ。
変わりに別のものが動かしてる、とわかるのにかなり時間がかかった。
なぜなら。
ヒュンッと帽子が投げ飛ばされたから。
俺の手で、アカネの意思で。
「あっ、柚邑の…」
風かと勘違いしたみたいで、二人は帽子を目でおう。
「こ…こほっ…あ、あー!帽子がー!」
棒読みで俺の声を使う。
心なしか高くて、オカマっぽい気がした…のはきのせい?