妄想世界に屁理屈を。

金縛りにあってるみたいな俺に弁解ひとつせず、アカネはダッシュ。


帽子を追いかけるようにして走り、そして




飛んだ。




柵を乗り越え、なんの躊躇いもなく、大空へ。


(うわぁあああああああああああああああっ)


感覚もなにも感じない俺もビビった。


出ない声で叫んで、すこしでも恐怖心を無くそうとする。


(お、おおちちちちち)


「落ち着け。落ちるけど痛くねーよ」


俺より男前の声が聞こえた。


ザザザと木々を抜け、もう落ちるっ…と思うだけで、実際には体感はしないんだけど。

それでもやっぱり怖くて、意識のみで目をつぶる。


「柚邑ー?あんたなんで目ぇー瞑ってんの?」

「まさかビビったとか?…くすっ人間ごときが…」


意識でもわかるのか、笑われる。

視界で確認すると、いつの間にか地面に立っている。

傍らには人間バージョンスズが。


「あー、スズが優しく抱き止めてくれて」


え!まじで?

こんな華奢な腕で…


「ありがとな?折れてねー?」

「…アカネ様のためなら、こんな苦行なんでもございません…!

ってゆーかアカネさまかっけーです!
やん男性化…☆
やっぱりいいです、ご奉仕します♪」


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