妄想世界に屁理屈を。
“っ、…ばかぁ、だありんが、来ないからだよっ…!だから、柚邑に…ひっ”
しゃくりあげ、声が通じたことに涙する。
受け入れてもらった幸福。
拒絶された苦しみから、ようやく解放されたアカネは、ひどく幼かった。
「…アカネ、退こうか?」
“…うん、ありがと、ごめんね”
アカネらしからない素直さにちょっと驚いたが、意識を退かす。
体の重みがふっと解け、息ができなくなった。
「…ん、メイドっ娘に退いてもらったのか?」
「うん…あ、こいつは柚邑っていって、」
「この野郎、俺様の前で男の話するとはいい度胸じゃねぇか。俺ぁ男でもOKなタイプだぜ?」
(スズの言った通りの人だ…)
呆れるくらいのアカネ好きに、ちょっと引いた。
「ゆ、おう?どうしたんだよ柚邑!」
紅太が叫んできた。
…そりゃあそうだろうな、いきなり友達が息切らしてきたと思ったら男にお姫様だっこされていちゃいちゃしはじめてんだもんな。
…ドン引きだよなあ。
(…アカネ、なんか弁解頼む)
「え?あ…ああ…と、紅太く、紅太!わた、俺今日から男に走るわ」
「えぇええええ」
(こんのバカぁあああ!)
「アカネぇ…」
苑雛くんも頭を抱えた。
おれも頭抱えたいけど、あいにく頭がないから無理だった。