妄想世界に屁理屈を。


「か、神に?それは…」


「私の家来ごときが知るべきことではない。

それより、帰るぞ」


この人は、私を諦めてないんだ。

十二天将の一員として求められてることがとんでもなく嫌だった。


「どこにっ…!私の居場所はアカネさまの隣だもん!」

「鳳凰になんか捕らわれて。
所詮は俗世に崇められてるだけの獣であろう?」

「アカネさまを悪く言うなっ」


ガリッと捕まれた腕を勢いよく噛む。

あわよくば食いちぎる勢いで。


「……ひゃっ!」


じわりと、嫌な味が口内でひろがった。

血の味じゃない。


苦い、焦げたような腐敗臭とその味。


思わず悲鳴をあげて離してしまった。


「なに、これっ…」


感触もおかしかった。

ぐじゃぐじゃとした弾力のない、気味の悪い肉の感触。


私の知ってる肉じゃない…。



「朱雀、今主人に逆らったな」



「あ…」


やばい、と思って、遅かった。


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