妄想世界に屁理屈を。
「っ…ぁあああっ」
渇を入れるように叫んで、安倍晴明に走った。
剣を構えて、やたらめったらに振るう。
戦術も何もあったものじゃない。
安倍晴明は軽やかに避け、私の攻撃をいとも簡単に交わし続ける。
「愚かな。自殺を図った不死鳥が」
「――っ」
動きが止まってしまった。
生活が辛すぎて、火に飛び込んだことを思い出す――
「ほうら、やはりお前は甘いのだ」
懐から和紙でできた札を取り出し、呆然とする私にぺたりと張り付ける。
「あっ…」
貼られた瞬間にグニャリと形を変えたそれは、渦を巻くように伸びてロープみたいになる。
そして私の体を縛り付け、結び目のない縛りと化した。
腕がお腹に縛り付けられて使い物にならなくなった。
――捕まってしまった。
「随分活発な女だな。女とは淑やかでなくてはならぬ。活発な女は嫌いだ――梨花を思い出すからな」
四次元かと疑いたくなる懐から、小さな針を取り出した。
容赦なく、私の二の腕に突き刺す。
「ぅくあっ、」
狭いが鋭い痛みに、身悶えする。
つい剣を落としてしまい、床に触れあう前にふっと消えた。