妄想世界に屁理屈を。

そしてスズの重みをガクンと感じる。


「す、スズ!大丈夫か!?」

「アカネさまは…」

「なんか抜けたみたいだけど…ち、血が!」

「大丈夫。人間じゃないし」

「でも!」


キッと荼己尼天を睨む。

相手は動じず、ただこちらが動くのを待っているみたいだった。


と、剣が目に入る。


スズがやられた衝撃で飛んだ剣。


「あれ、破邪の剣とか言ってたっけ」

「あれちょっとでも浴びせたら勝ちなの…。毒みたいに進行して、悪いのはみんな吸っちゃうから」

「さっきの黒いやつみたいに?」

「あれは悪いやつでしか出来てなかったから消えたけど、もとは荼己尼天いい神様だから…消えはしないと思う」


はあはあと息を荒くしながらスズは言う。

そっと衝撃がないようにスズを寝かせ、立ち上がって剣を拾う。


「ちょ、柚邑!」


スズが制止するのも聞かず、ただ走る。

荼己尼天目指して。

結構チキンな俺だけど、こーゆーときには頑張らなくちゃ。

不思議な力に動かされたようにかっこいいことしちゃう俺。


と。

アクシデントが起きた。



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