妄想世界に屁理屈を。

「アカネさま!?

だめっ…だめです!
このくらいの怪我、あとからどうにでもなります!
そ、そうだ!黒庵さまに治してもらいますから…だから!」


何をしようとしてるかは一瞬でわかった。


あの羽根は霊力の塊らしいから、それでスズを治そうとしてるのか。



“いいから大人しくしろ”



「いやです!」


アカネは今霊力がないって言ってたな。


スズはアカネの体を気遣ってるのだ。



優しすぎる二人は、なんだか見てられなかった。


「本当に私は『消耗品』なんです!だから…んぐっ」


アカネがその口を塞ぐように羽根を入れる。


「ひっ」


いきなりアカネがスズの上に飛び乗る。


そして嘴で目と鼻の間に迫った。


いきなりだったらビビるのは当然。


「…ごくんっ……て、飲んじゃったぁあああ」


一人で悶えてる彼女を放って、アカネはくるりとこちらを向く。

“で?バカは一体何やってんの”

怒ってるぅ…


「だ、だって、スズ倒れちゃうし、アカネいないし」


(構え、男、まずい)


ヒュンッと頭上を鎌が切る。


「ひぃいい…おま、ヤンデレかよ」


“間違った認識じゃねそれ…”




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