妄想世界に屁理屈を。
我が身に危険が及ぶのなんて一切考えてなかったアカネは、衝撃を受けたようだ。
いつだってアカネは、スズがラチられたら当然のように迎えに行っていた。
拉致されても、またかぁーとか言いながら当たり前に迎えに行く。
敵だろうがなんだろうが迷いなく行くし、人間の格好をして手土産片手に行くことだってある
まさか、来るなと言われるとは思ってなかったのだろう。
“…消耗品って、私は影武者とか使いとか、そういうのでしかスズを見てないと思ってんの?”
「…っ…」
アカネの自嘲気味な言い方に怯んだスズに、つい口を挟みたくなった。
「あのね、スズ。アカネにとってスズがラチられるのは日常茶飯事なんだよ。
で、それを迎えに行くのも」
「…今回はたまたまよかったっ…!だけど、次はもっとヤバイのかもしれない…!
一家来に命を賭すこと、ないのよ…!」
青息吐息で懸命に吐き出した拒絶に、アカネが落ち込んだのがわかった。
正論っちゃあ正論だからなあ。
自覚が足りないと責められてるようなものだ、意気消沈するのもわかるけれど。