妄想世界に屁理屈を。
「同郷って…なんでンなことわかんだよ?
狐の村みてぇなもんがあんのか?」
「黒庵にしては頭が良いね。
そう、その通りだよ!
まあ…
あった、だけれど」
「あった、じゃと?今はないのか?」
「うん。たぶん。
だって此処一一信太の森を捨てたってことは変わりの異界への入り口を作るはずでしょう?
近年異界なんて作られた匂いがない」
異界を作る際は霊力を多分に使う。
誰が何処に、とまではわからないけど、「あ、異界作った匂いがする」くらいはわかる。
異界への入り口が作られてない、とゆーことは、異界への入り口が必要じゃなくなった事態になった、ということ。
で、滅んだと推理したわけか。
「仮にタマとこやつの母親が同郷だったとして、何故苑雛は狐の村について知りたいのじゃ?
狐など、わらわ達鳳凰の管轄じゃないじゃろう?
四肢のある獣は、麒麟らの管轄じゃ」
遠くで宮下をなぐさめてる平和ボケした夫婦を見やる。
なぐさめのつもりか、すっかり正気に戻った白虎と追いかけっこをさせようとしている。
無論、ダッシュで逃げた。
「だって知りたいじゃない?
異界のスペシャリストたるお父さんも知らない狐の村だよ!
血が騒ぐよ!」
どうやら、頭としての知識欲らしい。