妄想世界に屁理屈を。
「狐の村…さあ、私たちは知らないわ…」
「私もだ。そもそも最近はプライバシーを重視する方針で、あまり干渉しないようにしているんだ」
「ええ、とても好評なのよね」
「あー、そうなんだ、へえ…」
こいつら使えねえ、と言いたげに軽くあしらった。
神々のプライバシーってなんだよ…。
「あら、でも狐じゃないのだけれど、猫の噂なら知ってるわ」
「ああ…。あれは本当なのかなあ。なんでも猫を操る人がいるとかいう…」
「恐ろしいわ…」
「私がいるじゃないか」
全く関係ない話をし始める始末。
ため息をついた苑雛は、ふと白虎を見やり。
「まてよ…。確か白髪の女の子を見たとか言ってたな…」
なにやらぶつぶつ呟いて、表をあげた。
「応龍さん。もうどうにでもしちゃっていいですよっ!
聞くことないんで」
「ようやく終わったのねェ。
そういう思い立ったらまっしぐらなとこ、驪さんにそっくりよォ」
嬉しそうに体をくねらせ、安倍晴明に近寄ろうとして、一本の腕がそれを邪魔した。
「…まて」
「あらァ。父上までただの人間に聞きたい事があるのォ?」
「…違う。ただ…」
すんだ水晶のような冷たい瞳の先には泰夫婦。
ヒィイ…と違いに身を寄せあって、目隠ししている。
「ああ…麒麟は血が駄目なんだっけか。
めんどうなのを父上も作ったねぇ」
「…仕事だ」