妄想世界に屁理屈を。
質問攻めにあったり、隠していたことを軽蔑されたり。
もっと冷たい態度を予想していたのに。
彼らの態度は病欠してた友達が来たって感じで。
俺の心配は杞憂だった。
「……」
なんだか恥ずかしい。
どんなことに関わっているのかとかは二の次三の次で、まずは俺の体調を心配してくれた。
純粋に嬉しい反面、そんな彼らに嫌われたのではなどと思っていた俺が恥ずかしい。
友達でよかったって思った。
だからこそ、隠したくない気持ちは膨らんだ。
言わなきゃ、余計な心配をかけさせないために。
今俺の見に何が起きているのか、ちゃんと伝えなきゃ。
「紅太、厘介」
「んー?ポッキーか?」
「じゃなくて。
昨日のこと…なんだけど」
ぷつんと会話が途絶えた。
気まずそうに顔を見合わせられて、なんだか急に不安になる。
「あれからよく考えたんだ、俺ら」
厘介が首に手をやりながら、珍しく目を彷徨わせた。
何かを言いたいのに我慢してる、という感じに。
「だけど昨日のヒントじゃなんも答えは出てこなくて…ってことは柚邑が隠してる事ってのは大変なことなんじゃないかって」
うんうんと紅太が頷き、口を開いた。
「で、結構聞かれちゃまずいんじゃないかって話になった。あってる?」
「あー…うん、結構まずいかも」
とくに驪さんのことなんかはまずい。
「だから!無理して話さずに昼休みとかでいいよ!」
「隠してたことにはむかつくが、事情が事情なのかもしれないしな。聞きたいのは山々だけど、聞かれちゃまずい話を教室でさせるほど鬼畜でもない」
なんていいやつらだ。
俺のことを考えて、気遣ってくれる。
正直その申し出はうれしかった。
ちゃんと考えてくれてるってことも含めて。
「うん…俺もそっちがいい。ありがと、本当に」
「じゃあ昼休みねー」
「…無理だけはすんなよ」
かくして。
俺の心配の塊だった事案は、昼休みにもちこされることになったのである。