妄想世界に屁理屈を。
恋が叶う神社として、何人が願ったんだろう。
身勝手に、なんの権利もないくせに、ただ単にすがって。
そのせいでさっきの黒い彼女は地位を欲したんだ。
「……じゃあさ」
“ん?”
「アカネは、自分が勝手に造られたのを憎んだりしない?」
俺ら人間が、勝手に願って造った神様という生命。
神様は、人間の思うようにただただ願いを叶える便利屋ではないんだ。
心もあるし、考えもある。
もし俺が神様だったら――
「俺だったら、きっと憎んだ。
なんの罪悪感もなく勝手に造って。勝手に願うだけ願って。
そーゆーの、なんかズルくない?」
今まで勝手に願ってたけど。
とんでもないことをしてたって実感したんだ。
“柚邑はそう思うの?”
アカネの声は、どこか楽しそうだった。
“じゃあさ、どうせしばらく一緒にいさせてもらうんだし――柚邑の目で見てみたら?
私たち神様の生きざまを、さ”
カカカッ、とよくわからない笑い方をした。