妄想世界に屁理屈を。
「…どちらかというと」
“あー、まぁ…浮いてる、かなぁ…”
「アカネさままでっ」
やけに背伸びした茶色の着物を、どこから見ても子供な女の子が着ているのは、やはり浮く。
「し、かし…」
スズはどこか目を泳がせて。
「この着物は、アカネさまがくださったものですから、えと…脱ぎたくないよぉ…」
うぅ、と涙に目を濡らす。
あぁ…どうりで。
丈もなんとなく合わない気がするし、おはしょりのでかさヤバイし、デザイン大人だし。
アカネがプレゼントしたものなのか。
「脱がないからっ」
まあむりに脱がせようとは思ってない、と言おうとしたら。
“スズ、脱げ”
アカネの声。
「アカネ、さま…」
主を想って私は、と言いたげに目を揺らす。
そりゃあそうだろう。
こちらの好意を否定されたも同じなのだから。