妄想世界に屁理屈を。

そう言われて記憶を探る。

俺自体は関わりがないから、どうしてもアカネとかを介しての情報になっちゃうんだよな。



「えーと、容姿と性格と」


「容姿!?せ、性格!?」


なぜか目を輝かせて食いついてきた今日子ちゃんにたじろぐ。


「まさかっ…お知り合いなんですか!?」

「違います違います!夢で見たってゆーか」

「夢ー!?夢枕にたったとか!?」


さっきまでのおしとやかさはどこへやら。

身を乗り出して食いついてくる。


そんなにタマが好きなのかな。



「あのね、そこのおねーさんは今タマと親交のあった幽霊みたいなやつに取り憑かれてるんだ。

そいつの記憶にタマが出てくるから知ってるんだよ」


落ち着いて、と手で制しながら説明してくれる。

ちょっと誤魔化してる部分もあったけど、鳳凰の説明がめんどくさかったんだろうな。


苑雛くん、兄弟を幽霊呼ばわりしちゃだめだよ…。


「なるほど、柚邑さんも大変ですね」


なんとなく理解してくれたみたいで、落ち着いて座り直した。


「他には何か知ってますか?」

「あー…と、ああ、タマが安倍晴明に殺されたことは…」

安倍晴明の子孫が安倍晴明を復活させて、正体をつきとめタマを殺す話。


今日子ちゃんはこくこくと大きく頷いてため息をついた。


「よかったです…それ知っててくれて。
玉藻前の伝説の中では一番有名な話ですもんね」


胸に手を当てて、ほっとしたように。






「私たち邪眼は、その玉藻前の残りカスなんです」





恐ろしいほど綺麗な青い瞳に吸い込まれそうになりながら、彼女はそういった。




「……残りカス?」


それはしらなかったらしい苑雛くんが、訝しげに聞いてきた。



< 490 / 631 >

この作品をシェア

pagetop