妄想世界に屁理屈を。


「はい。

玉藻前はその神霊が消える寸前に岩に入ったんです。

終始毒ガスを撒く、殺生石という岩に。

玉藻前の本日は破壊神、ということで、同じ属性をもつ殺生石で回復を試みたんだという説が有効です」


謎の多い玉藻前だけど、その根っこは破壊神だとされる。

だけど国をかえたくて、右往左往して一一結局は悪者になってしまうのだ。

人格がとてもいいらしいけど、とにかく付いてないように受け取れる。



「で、向こうはそれを見抜き、トドメをさしたんです。岩を神聖な剣で砕くことによって」


「うわ、容赦ないね」


「ですねー。…まあ人は人外を徹底的に恐れる生き物ですから」



悲しそうに目を伏せたので、わかってしまった。


そうだ、彼女も人外だ。


それも邪眼という人にとっての兵器を持った人外。

似たような経験したことがあるのだろうか。


「玉藻前が宿った岩は、全国に飛び散りました。
そしてそれを浴びたのが、私たちの祖先なのです」



「…岩の神霊が岩と人との物理的接触によって人に乗り移ったってこと?」


「…う…?難しい言い方しますね」


苑雛くんの難しい物言いに頭が混乱しているようだ

…そうか、なるほど。

彼女たちの邪眼は玉藻前の破壊神の属性によるものだったんだ。

だから玉藻前と同じ髪色をしているという訳か。



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