妄想世界に屁理屈を。

「ない…?なんで、どうして」


「…私達は商品として扱われます。
村人の利益のために徹底的に管理されて、そだてられる。

白龍家は違うんです。

白竜家は、村人に神様扱いされて崇められるんです。
村に閉じ込められることに変わりはないんですがね?」



ちょっと考えればそういう目もあるのか。

商品としてしか見ないものと、神様としかみないものと。


なるほど、人間は様々ってわけだ。



「なんでこうなったかっていうと、あの村にだけお告げがあったんだそうです。

もともとあの村は山の中腹にあって、人の目に届きにくいところにあったみたいです。
そこをわかってか、白龍家が石を浴びた日に朱い髪の少女が村人全員の夢枕に立ったらしいんですよ。

“玉藻前は絶対に復活するから、血を絶やすな”って。

で、山を掘れって言われて掘ったら温泉が湧いたみたいで。
火山も何もないのに。
これは神の力だーってなって、白龍を崇めまくったらしいです。

しかもその少女、日向家にも現れてるみたいで…白龍を支えろって。
ね?すごい話でしょう?」


「………」




ちょっとまった。


すごい話でしょう?って言われても、それよりも突っ込みたいところがあって。


じとーっと苑雛くんを見る。



鸞さんも知らなかったらしく、目を丸くしていた。


「…すごい話だね♪」


「……」



愛くるしい笑顔でごまかしやがった。


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