妄想世界に屁理屈を。
「一一!」
俺と、鸞さんの目が見開かれる。
一瞬言葉を失った。
「あくまで日向さんに聞いた話なのでうろ覚えなんですが、どうやらそういうしきたりがあるようで。
今のシンデレラは双子の兄と子供を作らされ一一っ!
んんんっ!」
いきなり目を開いて、口元を押さえてお堂の外へ。
ドタバタと派手に足音を響かせ、俺たちの視界から消えていった。
「え!?え、ええ!!?」
驚いて追いかけると、今日子ちゃんは外に向かって胃の中のものを吐き出していた。
もともと中身は少ないようだ、吐瀉物はほぼ胃液だった
あまり苦しんではないようで、吐くだけ吐いたらケロリとした顔で俺に向き合ってきた。
「あ、柚邑さん」
あ、じゃないよ。
「大丈夫!?は、吐いてたけど…!」
「あー、気にしないでくださいな」
「気にするよ!!風邪か何か?苑雛くん、何か薬…」
「いらないんで、よかったらお水ください」
にっこりと綺麗に笑まれた。
「邪眼はね、不純を嫌うんだって」
苑雛くんがどこからか湯飲みに入ったお水を持ってきてくれた。
「はいどうぞ。ここなんもないから、我が主の水筒のやつなんだけど、」
「ありがとー、優しいんだねぼく?」
子供扱いしまくってる今日子ちゃんは湯呑みを受け取り、口につけて傾けて飲む。
「不純って?」
役目を終えた苑雛くんに聞いた。
「平たく言えばエッチなこと。そーゆーのを見たり聞いたり話したりがダメらしいよ?
最悪死ぬとか」
すでに調べ済みらしく、スラスラと教えてくれた。