妄想世界に屁理屈を。
「お、俺が何したってゆーんだよ!ただ落ちただけで…」
「落ちたのが問題だあボケ!!」
さっと重みが退く。
やつがどいたのだ。
開放感に酔いしれたかったけど、また来る攻撃を回避するために飛び起きた。
そして、光景に驚く。
「ほら、視えんだろー?ったく、人間めんど…」
そこには、女がいた。
あかい髪が風によって舞っている。
紅というより朱という感じのそれは、まるで椛みたいな存在感だった。
そして怒りに上気した、白い白い肌。
つり目がちな朱の目。
その華奢な体を包むのは、明らかに高価な朱色の着物。
日本らしからぬ中華感MAXな雰囲気。
「視えてるかって聞いてるの!」
先程までは明らかにいなかった、その存在。
「なっ…」
「見えてるなこりゃ」
はあ…とため息をついて。
女の足が宙に浮き、ジャンプした。
そして。
「うりゃあっ」
「あがぁあああ」
俺に飛び蹴りを食らわせた。
「バカバカバカバカッ!何してくれてんのマジで!」
また理不尽に怒る作業にもどった。
バムバムと面白いように蹴られる。
これ、はたからみたらただのご褒美だよなあ……
いかん、蹴られ過ぎておかしくなってきた。