妄想世界に屁理屈を。
「え…?黒庵さまの…?よろしいですけど…」
不思議そうに首を傾げながら、糸に手をかける。
スルスルとマジックのように装飾のついたハサミがでてきた。
縄を切った時よりも小振りで、大きさも変えられるのかと発見。
「ありがとうございます」
頭を下げてそれを受け取って、シャキシャキと何回か手に馴染ませた。
相変わらず斬れ味の良さそうな、銀色に光る刃。
「…ちょっと失礼しますねっ」
その刃を一一彼は俺に向けた。
「ぅ、うええ!?」
突如向かってきた銀におどろき、目の間に来た瞬間に俺は後ろによろめいてしまった。
それを見越したかのように驪さんは飛び乗り、俺に馬乗りになる。
反転する視界にクラクラしながら、必死に銀が今どこにいるかを探した。
そして、俺の額の方に刃があることを認識する。
「ひ、ひぃっ…!」
顔面に向けられた刃に思わず目をつむり一一
シャキンッと、俺の頭上で音がした。