妄想世界に屁理屈を。

「え…?黒庵さまの…?よろしいですけど…」


不思議そうに首を傾げながら、糸に手をかける。


スルスルとマジックのように装飾のついたハサミがでてきた。

縄を切った時よりも小振りで、大きさも変えられるのかと発見。


「ありがとうございます」


頭を下げてそれを受け取って、シャキシャキと何回か手に馴染ませた。

相変わらず斬れ味の良さそうな、銀色に光る刃。



「…ちょっと失礼しますねっ」


その刃を一一彼は俺に向けた。





「ぅ、うええ!?」


突如向かってきた銀におどろき、目の間に来た瞬間に俺は後ろによろめいてしまった。

それを見越したかのように驪さんは飛び乗り、俺に馬乗りになる。


反転する視界にクラクラしながら、必死に銀が今どこにいるかを探した。



そして、俺の額の方に刃があることを認識する。


「ひ、ひぃっ…!」


顔面に向けられた刃に思わず目をつむり一一



シャキンッと、俺の頭上で音がした。




< 510 / 631 >

この作品をシェア

pagetop