妄想世界に屁理屈を。
「もちろん、ちゃんと今から叱ってきますよ!
これはいけないことですもん」
ば〜かも〜んっと日曜の国民的夕方アニメを真似する。
「でも、」
付け足すように。
「あの子は、誰よりも責任に追われてるだけなんです。
リーダーとしての鸞はまだまだ未熟な面もあります。
だから自分がなんとかしなきゃって。
彼女よりもいろんなことが見えてしまう彼は、彼女が知る前に事を片付けて一一何事もなかったかのように鳳凰に笑っててほしいんです」
何かを隠してるような口ぶりに違和感を覚える。
彼は何を終わらそうと一一片付けようとしてるのか。
「いい子なんです、自慢の子供なんです。
だから嫌いにならないであげてくださいね。
とくにゆーちゃん…君に向けられた辛い言動とかあるでしょう?
あれをそのまま直球に飲み込むんじゃなくって、よぉく咀嚼してみて。
不器用なあの子が何を伝えたかったのか、理解してあげてください」
今日、俺は神様という存在がわからなくなった。
どれが正解で、何が正しいのかわからなくなった。
突きつけられた、現実というものが。
だけどそれを伝えたのには彼なりの意図があるはずだ。
そしてそれはきっと、俺自身が気付かなきゃならないのだ。
いなくなった驪さんの後ろ姿を呆然と眺めながら、俺は今日言われた言動の一つ一つを思い出していた。