妄想世界に屁理屈を。



「ゆーちゃん、困ってましたよ、悩んでました」


「……」


「スズに話を聞いてやるようにって言ってきたんで、たぶん今聞いてもらってると思いますが…あの子はまだ子供なんです。見た目ではない、中身が」


わかってるよ。

こんな見た目だけが子供の僕なんかより、ずっとずっと子供なんだって。


汚いものになれていない、純粋な存在なんだ。


「…いきなり信じてるものの汚さを見せつけられて、対応を考えあぐねてるはずです。
一一このまま首を突っ込んでも良いものか、と」


「僕は首を引き戻していいと思ってますよ」


だって、人間だもの。



「アカネの馬鹿が巻き込んだんです。
体を取り戻すのなんのは僕たち男でやりますから、あの子とアカネと主はここで待って一一」


「アホか」


低い声が降ってきた。


今まで黙っていた黒庵が、口出ししてきたのだ。




「俺のアカネはそんなのを頷くような肝じゃねぇ。
俺ですら計り知れない肝を持つ女だ。

それに、」


そっ、とこめかみを抑える。

何かを探るような仕草をして、ふっと笑った。




「どうやら向こうが動き出したみたいだぜ?」




ニヤリと笑った。
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