妄想世界に屁理屈を。


ついたのは夜の学校だった。

奥にいた宮下さんのせいで門は開いていて、学校のセキュリティの甘さを痛感させられた。

ちなみに前の席には黒庵さんが乗っていて、鸞さんと苑雛くんはお留守番である。


職員用の駐車場に車を止め、降りると宮下さんが何やら焦った様子で走り寄ってくる。


「おいミサキっ、何やら荼枳尼天がドンパチして…黒いのもおるのか!これは心強いの」

「どんぱち!?ちょ、百瀬は!百瀬!」


「わぁーたわぁーた、今行ったるから黙れ餓鬼」


頭をぽんぽんとされて、小走りで向かった。

たぶん気を急いてる俺を静めるためだろうな。


…むだに男前なんだよ、色男が。



と、言うわけで案内に従って中庭へ向かう。


「……ええ」


開いた口がふさがらないとはこういうことだ。


中庭は本来丁寧に手入れていて、春夏秋冬色々な花が咲くようになっている。

私立ということもありお金のかけ方が並みでなく、噴水なんかもある。


が、これは…



「校長が泣くね…」

「嵐が通ったみたい」


スズも呆然としていた。



< 521 / 631 >

この作品をシェア

pagetop