妄想世界に屁理屈を。
「えーと、出雲大社って知ってる?知らなかったら面白「なにそれ」
「……」
あれ。
みんな一同にだまっちゃったんだけど、俺何かしたかな。
聞いたことあるような気がしたけどいまいち知らなかったから。
「…まさかここまでバカだったとは…」
「おまえなんでこんなのの中に入ってんの?」
“好きで入ったんじゃねーよ…うぅ”
「アンタ日本人なのかぃ?」
「…一応柚邑殿は正真正銘の日本人でございます…信じられないでしょうが…」
一斉に批判を受けて心が痛いんだが。
しまいには日本人かどうかまで疑われてるし…。
「うわぁ…
あのさぁ、これ常識じゃないの?」
「…ごめんなさい」
「僕疲れちゃった、だれか代わりにこのおばかさんに出雲大社について説明してあげて」
大げさにため息をつかれて悲しくなってきた。
やっぱ俺っておかしいのかな…ちょっとは神話とかについて勉強しといたほうがいいのかもしれない。
心が傷ついていたら、はい、とミサキくんが手を挙げた。
「では吾が説明しましょう。
わ か り や す く」
目が怒ってる…ミサキくん無表情で目だけ怒ってるよ…。
ビビりながら静聴する。
「出雲大社とは大国主(オオクニヌシ)という神が祀られた神社のことです。
大国主はあの因幡の素兎の大己貴(オオナムチ)でもある同一神です。
大国主は三貴神の一人である須佐之男命の名により葦原の中つ国…否、理解できないでしょうから日本と言いましょうね。その日本の制定を命じられるのですが、それをよしとしなかった天照が息子である天之忍穂耳(アメノオシホミミ)や天若日子(アメノワカヒコ)を向かわせて阻止するのですがいろいろあって失敗に終わり、最終的には武甕槌(タケミカヅチ)を送って大国主を退かせる話です。
その際の退く条件として出されたのが出雲大社の建設です。
ちなみにこのあと有名な天孫降臨につながります」
「……」
なんというか、ごめんなさい。
手短にくだりを終わらせたかったらしく、すっごい早口だった。読みずら。
「あー、ありがとう。ごめんなさい…?」
「ちょっとは知識をつけられた方が良いかと」
本当にごめんなさい。