妄想世界に屁理屈を。
「ぶっ」
あ、黒庵さんが吹いた。
「女にうつつ抜かして任務ほっぽる最低下衆な糞野郎だそうです、黒庵さま」
「そ、そこまでは言ってねぇよ…確かにニュアンスはそんな感じだけどよぉ」
「申し訳ございません、任務ほっぽる最低な野郎様」
「てめっ…!た、楽しんでるだろ!あれは不可抗力で」
「女にうつつ抜かして」
「うぐっ…!性格悪くなったな、ミサキ…」
黒庵さんとミサキくんの漫才を聞きながら、意識を天探女に戻した。
「なんでって…答えはかーんたん。
そこの主にSっ気向けてる黒スーツの男と、君の可愛くって仕方ないしもべのポニテの女の子と同じ!
…主の命令さ」
「あ…るじ?」
アカネが呆然と呟く。
そうか、彼女は一一主のために働いたのだ。
彼女の意思関係なく、主の命令で。
「ふん、お前が誰かに仕えてたなんて聞いたことないけどねえ」
「私もないです、荼枳尼天さま」
まあ仕えなさそうな性格だよね、どうみても。
「その主って誰だ?」
「えー?答えなきゃだめぇ?」
いやいや、と身悶えして、アカネの質問に楽しそうに笑う。
キラキラとした目で、こちらの緊迫とした空気を逆撫でするような。
「答えたら何かしてよー」
「殺すのはやめさせる」
「うっわ、条件えげつなぁー」
それでも笑って。
「一一スサノヲさ。三貴神のね」