妄想世界に屁理屈を。


「ぶっ」

あ、黒庵さんが吹いた。


「女にうつつ抜かして任務ほっぽる最低下衆な糞野郎だそうです、黒庵さま」

「そ、そこまでは言ってねぇよ…確かにニュアンスはそんな感じだけどよぉ」

「申し訳ございません、任務ほっぽる最低な野郎様」

「てめっ…!た、楽しんでるだろ!あれは不可抗力で」

「女にうつつ抜かして」

「うぐっ…!性格悪くなったな、ミサキ…」


黒庵さんとミサキくんの漫才を聞きながら、意識を天探女に戻した。


「なんでって…答えはかーんたん。
そこの主にSっ気向けてる黒スーツの男と、君の可愛くって仕方ないしもべのポニテの女の子と同じ!

…主の命令さ」


「あ…るじ?」


アカネが呆然と呟く。

そうか、彼女は一一主のために働いたのだ。

彼女の意思関係なく、主の命令で。


「ふん、お前が誰かに仕えてたなんて聞いたことないけどねえ」

「私もないです、荼枳尼天さま」


まあ仕えなさそうな性格だよね、どうみても。


「その主って誰だ?」


「えー?答えなきゃだめぇ?」


いやいや、と身悶えして、アカネの質問に楽しそうに笑う。

キラキラとした目で、こちらの緊迫とした空気を逆撫でするような。


「答えたら何かしてよー」

「殺すのはやめさせる」

「うっわ、条件えげつなぁー」


それでも笑って。






「一一スサノヲさ。三貴神のね」






< 527 / 631 >

この作品をシェア

pagetop