妄想世界に屁理屈を。
「おおよしよし、泣くんじゃないよ、赤ちゃんじゃないんだから」
「うぇ…だってぇ」
「天探女、あまり子供をいじめないでおくれ。
こいつは精神が幼いんだよ」
「あー、星の王子様しか食べれないお子ちゃまってことね」
「ち、違うもん!中辛までならいけるもん!」
そういえば黒庵さんが作ったカレー、スパイシーなのにマイルドだったな。
なるほど、スズの為だってわけね。
「ところで、今回もそうってことはスサノヲの命令なのかい?」
荼枳尼天さんが聞けば、首を捻って。
「うーん、スサノヲなのかなぁー。
どうもあいつも誰かに命令されたみたいなんだよね。
だからぁ、下請けみたいな?」
「…ねぇ、俺イマイチ百瀬に君がなにしたのか知らないんだよね。
何したの?」
何かされてるらしい、という曖昧な情報でこっちに来たから、具体的になにを天探女がやったのかわからない。
だから恨みようがないっていうか。
「ああー、聞いてないんだー。
じゃあ教えたげるね」
ニコニコと愛らしく笑って。
「僕がやったのはただ一つ。
近寄って、真実を一一君の今の現状を教えただぁけ」
……え。
どくんと大きく心臓が跳ねた。
冷や汗がぶわりと全身から吹き出る。
「あ、あんた一一」
「毎日、少しずつ。
心当たりない?素っ気なかったり…」
あった。
今日厘介たちに女体化のことを説明する前、朝に挨拶をした。
だけど気まずそうにコソコソと避けられたのだ。
傷ついた
百瀬にはばれたくなかった。
俺が女の子になってしまったなんて恥ずかしい事実、嫌だった。
“お、おい…大丈夫か?”
「ちょっとダメかも…」
“よしよし、大丈夫だって!
お友達にも話せたんだし、それに私たちのせいなんだ。
恥じることはないよ”
優しく励ましてくれるが、精神的ダメージは半端なかった。