妄想世界に屁理屈を。

それから俺は、約二時間ほど読書にいそしむことになった。


薔薇やお花に包まれた美男子がキャッキャ☆ウフフと戯れ。

R規制を免れたのが不思議なぐらいのシーンがたっぷりで。



「うぅ…」



吐き気と涙を誘うのは十分だった。


「ファンタジーだよぉ…男同士でこんなんなんてまずないよぉ…」


一冊を読み終わるのにすごい時間を要したのは言うまでもない。


残った7冊の本をどうしたものか。


「…感想…」


書いて提出とは。

読むだけなら誤魔化せるけど、感想を書くとなると読まなくちゃならない。


辛いが、新たな本に手を伸ばそうと、



――違和感を感じた。



伸ばした手が、震えてる。

ガクガクと寒くもないのに尋常じゃないほど、震えてる。

「なんだ…?」

震えてる時点でおかしいのだが、もっとおかしい事実に気づいて――冷や汗がドバッと出た。



自覚が、感覚がなかったのだ。
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