妄想世界に屁理屈を。

「『“ぼく”になってくれないか
“ぼく”になって、彼女に会ってくれ

“ぼく”はもう彼女を守れないから、“ぼく”のかわりに』

でもほら、霊力とかで怪しまれるでしょー?
ばれちゃうよって言ったら、自分を食ってなりすましてくれって

彼女自身あんまり神格高くないから見破られないだろうって

それで中にいるんだー」




なんでもないように言うことではないだろう。


私は震えそうになりながら、立ち上がった。

そして勢いのまま言った。



「そんな軽いもんじゃないでしょう!?

鬼が神々を食うなんて、そんなことできないようにプログラムされてるんだもん!

ってことはさ、てことは…!」


て、ことは。




一一並大抵じゃなかったはずだ。


その痛みは、代償は、副作用は一一



大抵神々というものは己の肉体を守るようになっている。

人間でいう本能で、身体に損傷を負わせないようになっている。


人間が血液の違う輸血をされたとき、拒否反応をする

火に触れたら熱さで皮膚が焼けるのを防ぐため、手を引っ込める。



体や成分の違う神々を食らうとは、それを全部したようなものだ。


己の体の形を無理やり外部から変えさせるのだ、体は拒否するに決まってる。


そしてそれが鬼と神々と言うならば、それは半端じゃないはず。

本能に加えて体に元から神々の霊力を拒否するプログラムがされてるのだ、もう苦しみは想像できない。



雌雄が変わるほどの苦しみを彼女は一一




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