妄想世界に屁理屈を。



なんて会話をしているうちに、どうやら霊力の補充は終わったみたいだ。

むくりと起き上がる驪さんに、ぴくりと反応する赤龍。


「…どうです、兄上様。私の子供達はなかなか面白いでしょう?」


「…子供に力を分けてもらわねば話もできない、お前とは大違いだな」


真っ先に子供の自慢した驪さんだった。



因縁の兄弟、うん百年ぶりに再会である。

ごみ捨て場での皮肉たっぷりの挨拶。

鳳凰のような仲睦まじい兄弟とはかけ離れた関係だった。



「言い返す言葉もございません。所詮私はその程度、兄上様の風上にも置けぬ存在」

まだ、あまり顔色がよくない。

大丈夫かなぁ、驪さん。

大きくて美少年だから、いつもよりも敬語がかっこいい。

あこがれのひとが波平さんってのが嘘みたいだ。たぶん、ハウルあたりじゃないかな。美少年感からいって。


「なぜ、縄で捕らえるのですか。私だけならまだしも、我が子も」


…怒ってる。
驪さんは子供を本当に大事にする、優しいお父さんだ。

子供を捕まえられるのは、逆鱗に触れる。

「…意図をお聞かせ願います。場合によっては、その、怒っちゃいます」

いつもニコニコの驪さんがそんなことを言うなんて。

けどね、驪さん。

殺気とか闘気とか怒りとか感じないんだよ、その可愛い言い方だと。


「お前が怒った所で、なんの解決にもならない」


ふん、と馬鹿にしたような言い方で。




「私が望むこと一一それは、鳳凰の解散と、真実の開示である」



とんでもないことを、さらりと述べた。






「私は、お前たち鳳凰を壊すのが目的だ」




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