妄想世界に屁理屈を。
「…あ、兄上…?」
そのうち2つはアカネにとって聞き捨てならないことで。
最後の一つは、驪さんにとってだめなことだったらしい。
呆然と兄を見て、弁解を求めた。
しかし兄は無視をする。
“し、シロとたま!?なんで…隠す必要がねーじゃん!”
「…理由はおいおい話そう。
そうだな、まずはシロのことからだ」
アカネがゴクリとない唾を飲んだのがわかった。
今すぐじゃないことにホッとした顔をした驪さん。
…何隠してるんだろう。
この人あんまり隠し事しなさそうなのに。
でも今はそれより、大事なことがある。
必死に声を荒げた。
「聞いちゃだめだよアカネ!だって…」
だって、壊すつもりなんだ。
それほど重大な秘密なんだ。
聞いていいことなんてない。
“…わかってるよ、でも…ここで聞かないと、私はいつまでシロを探し続けなきゃなんないの!?”
悲痛な叫びに胸が痛む。
シロのことを探し続けてて、彼女はまだ諦めてないのだ。
いい加減決着をつけたいだろう。
鳳凰が健在なため生きてるとは思いたいが、もしかしたらもあり得るのだ。
なんて言ったらいいのかわからなくって、黙ってしまった。
“教えて、もう壊されたっていいんだ。あいつは今どこにいるんだ?”
言ってしまった。
でももう俺にはなにも言えない。
俺だって、関わってしまったからには…夢でアカネの辛さを読んでしまったからには、やっぱり知りたいのだ。
膝を抱えるアカネに、悲しそうに手を伸ばす黒庵さん。
シロを忘れてるように見えて、彼女の心の中はまだ膝を抱えてる。
あのときの海辺のままだ。
赤龍は嬉しそうに懐を弄って、取り出した。
一一真っ白の髪を。
“一一…え?”
一つにまとめられた、どこかで見たことのある美しい七色に輝く白髪。
どよめく鳳凰、身を乗り出す俺。
これは、一体。