妄想世界に屁理屈を。
…ああ、そっか。
この人とアカネって、血っていうか霊力が遠巻きながら繋がってるのか。
叔父さん、だもんな。
だから話せるってわけか。
「…どうだ、驪。息子を殺したと暴露してやったぞ」
「………」
睨む。
睨んでる。
「…兄上様、私はやっぱり、あなたが嫌いです」
そして、悲しそうに言った。
嫌いなんて言葉が、この人の口から言えるのに軽い衝撃だった。
「…アカネ、黙ってたわけじゃない。僕たちも知ったのはついこの間なんだよ。体を失ったアカネにこれ以上悩みを増えさせるのはいけないと思って、」
“…だとしてもだ!知ったなら言えよ…!仲間だろ!”
苑雛くんの言い訳に、アカネらしい言葉で返した。
「仲間だからじゃ!
おぬしのことを考えて、伝えたら前を向けなくなる、下手したら自傷行為をはたらくと思ったからじゃ!」
鸞さんが弁護した。
アカネが好きだから隠したのだ、気持ちはすごいわかる。
あとはアカネがそれを受け取ればいいだけだ。
「例えばおぬし、ゆーちゃんが今死んだとする」
え?
「行方不明と言える死に方じゃ。
それをおぬしはわざわざスズに伝えるか?
一言一句、現場の惨状をあますことなく。スズが泣き喚くのを承知で、それを見たいと思うか?」
“………”
「苑雛を責めるのはお門違いじゃ。
彼はいい決断をした。
おぬしはシロを溺愛していたからな。
死んだと分かれば何をするかわからぬ」
前科が、アカネにはある。
タマが死んで助けようと霊力を馬鹿みたいに注ぎ込んで今の現状なのだ。
危惧するのもうなずける。
「わらわとて、シロが好きじゃった…!今この髪の毛を目にして、涙が止まらぬ…!」
まだ流れる涙を拭いもせず。
「けど!今はシロの死を嘆くよりも隠し事を責めるよりも、仇を討つ方が先とわらわは判断した!
リーダーの判断は絶対じゃ!
ゆえにアカネ、赤龍の言葉を聞け!」
ビシッと、かっこよく。
やはり彼女はかっこいい。凛としてて、芯が通ってて。
アカネも動いたらしく、コクリと頷いたのがわかった。
「…鸞さん、アカネも承知したみたいです」
「すまんなゆーちゃん」
何に対しての詫びかわからないが、とりあえず受け取っておいた。
「大丈夫です。鳳凰の仲良しさはわかってます」
「…ゆーちゃんはいい奴じゃな」
鸞さんがようやく止まってきた涙を縛られてる手を器用に使って拭った。
「…続けろ、赤龍」
「ふん」
命令があまり気に入らなかったらしいが、それでも続けてくれた。