妄想世界に屁理屈を。


「私の狙いは、最初鳳凰と権力だった」


淡々と。

「驪に最高神は相応しくない。宝玉と一緒に返せと言ったのだが」

驪さんの首の玉。

まだかけてるけど、相変わらず大きい。



「驪は嫌がった」


当然だ。
しかも彼が相応しくないわけがない。

苦労して、苦労して、頑張って世界を納めてる。

彼の書斎の手記を見ればそれがわかるのに。


「鳳凰はなんで狙ったの?」

苑雛くんが聞く。

「…それは後に話そう」

順番があるらしいからな。ちゃんと聴こうっと。


「とにかく、嫌がった。
だから、シロを捕まえて脅したら、驪は必死でシロの命乞いをした。面白くなったので、殺したまでだ」


「…さいってい!」


怒ったのは、苑雛くんだった。

俺もムカついた。

だってこいつは、ただ単に驪さんの絶望した顔が見たかっただけだ。

それだけのためにシロを殺したのだ。

驪さんを見ると、顔を青くして震えていた。


シロを失ったときのことを思い出してるのだろう。


「みてたのだろう?」

そうだ、彼は土地と神々と水の最高神。
すべての土地のことを意識すれば見ることができる。

まざまざと、見せつけられたのか。


息子が殺されるところを。


「一一っ」

強く噛んだ唇から血が出てきた。


お花畑の驪さんがここまで怒るところを初めて見た。



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