妄想世界に屁理屈を。
しかし少女には心に決めた男がいた。
男と逢瀬を重ね、生娘ではなくなっていた。
妊娠を知った村人は大慌て。
怒り狂い、少女を牢屋に捕らえて九尾に訳を話した。
村にはまだ生娘がたくさんいる。どれを生贄にすればよいかと。
しかしなにぶん、美しい少女だったため、九尾は生娘でなくてもいいと言った。
多少味は落ちるが、美しさに問題はない。
それを知った少女は愕然とした。
子供まで殺されてしまう。
それだけは避けたいと、少女は逃げた。
結界から出て、人里へ。
しかし身元の知れない身重の女を受け入れてくれるところなどなかった。
食うものにも困る日々。
大きくなる腹。
どんどん少女は衰弱し、しまいには臨月のときに山中で倒れた。
そのとき、一人の若者が通った。
美しい着物に美しい白髪。
意識が薄れる中、少女は彼が神だと確信した。