妄想世界に屁理屈を。
「うぉおおおおおおおっ」
雄叫びを上げながら勢いよく走り、かろやかに跳躍。
襲ってくる龍を睨み、退けっというように手で胴体を払う。
そこが黒く変色し、炭のようになる。
「破壊……」
そうか、あれがシロさんの力。
ぴょんぴょんと今までの鸞さんとは全く違う軽やかさで跳ね、踊るように肉を割いていく。
これだけしか力を持たなかったシロは、どれだけの孤独だったのか。
あの海辺で、彼は一体何を思っていたのか。
水がやってきた。
どこからか湧いたそれは、龍を縛り付けて動きを封じていく。
振り向くと驪さんが抑えるような動きをしていた。
「……シロは、死んでないんですね」
ぼそっとそう呟くから、心臓がきゅうっと締め付けられる。
目の前に白髪になった娘を見て思うところがあったのだろう。
その感情は俺じゃあ全く計り知れない。
ただ、少しだけ嬉しそうだったから、俺も少し安堵した。
「鳳凰は!完璧なんです!!次世代の神々の最高神になるべく誕生した子達!だから……だからっ」
赤龍に聞こえるように大声で叫ぶ。
聞いてるのか聞いてないのかはわからない。
「試験とかなんとかで測っていいような器ではないんです!!!!!」
ぐっと、力強く動きを封じられ、龍が地に落ちる。
「鸞!!!!」
「行くぞみんなぁあああああ」
驪さんの声に答えるようにそう叫び、龍を勢いよく────大太刀で断ち切る。