妄想世界に屁理屈を。
スズを抱き抱えたまま、俺はどうしたらいいのか分からなくてただただ呆然とやめてと叫ぶしかなかった。
一通り暴行が終わったのか、男が一旦みを引く。
驪さんはぐったりとその場に倒れ込んでしまっている。
絶望していると、男が驪さんの胸ぐらを乱暴に掴んで起こした。そしてその胸元の───水晶を引きちぎる。
そ、それが目的だったのか!!!
水晶を取られたことにより少しだけ抵抗をみせたが、ぐったりとしている。
「よくやった」
赤龍が男を褒める。
男は水晶を渡しながら、「まあ俺様ならあんな雑魚余裕っしょ」とドヤる。
「さすが、日本一の英雄神、素戔男尊だな」
男は素戔男尊……天邪鬼の上司か!
あんな最低な男が上司なんて、そりゃ嫌がるだろう。
赤龍は嬉嬉として俺に近づいてくる。
今度は俺をやるつもりかと震えていると。
「おい、朱雀をわたせ」
スズが目当てだったらしい。
殺されるとおもい、強く抱き抱える。
「やめろ!!!スズまで殺すつもりか!!!」
やめてくれ、俺から全部奪わないでくれ。
味方が1人もいなくなった絶望的な環境で、俺は泣きながら訴えた。
「騙して鳳凰を殺して、そのスキをついて驪さんをボコボコにして水晶をうばって……そんなんで世界を納めるやつがいいのかよ!!!」