妄想世界に屁理屈を。
「ちょっ…大丈夫!?」
急いで駆け寄り、背中をさする。
上げた顔は真っ青だった。
「…大丈夫じゃ…ないっ…」
な、何があったんだ!?
一人でオロオロ焦ってると。
「羽…」
「羽?」
あ、あの羽か。
急いで走って、少しむしられた羽を拾い、渡す。
「ありがと…」
それを胸に抱き、二三回深呼吸。
「ふぅー…」
落ち着いたのか、安堵のため息が聞こえた。
そして、羽が溶けたみたいに消えた。
「なあっ!?」
「私のからだの一部だかんな。戻しただけ」
ふぅ、とため息を再度漏らした。
「えと…」
「あんたのせいだ…」
ぼー…とたぶん無意識で、宙をさ迷う目線。
「あのさ、さっきからそればっかりだけど。
俺何かした?」
「した」
即答だな、おい。
「あんた、降りるときロープ切っただろ?」
「まあ…」
「あれが原因」