妄想世界に屁理屈を。
「あ…ごめんなさい。私は蜜柑。お兄さんの妹」
お兄さんって言ったぞ!今お兄さんって!
兄さん兄さんと貶され続け、初めてお兄さんと言われた。
しばらく感動してたかったけど、
「あなたは?」
この質問で飛んだ。
名前を答えなきゃならないんだよな?
「ゆ…」
柚邑はダメだ。
じゃあどうするか、ってか『ゆ』って言っちゃったんだけど。
「ゆ?」
聞かれた俺は仕方なく。
「ゆ…ゆーです!」
そのまま伸ばしてみた。
よく考えたら『優』『悠』『結』とか、ゆーで通じるものがあったから、不思議な名前じゃない。
「そう、ゆーちゃんって言うの」
にこにことバックにお花畑背負ったお母さんが、うっとりした顔で俺を見つめる。
「ところで……なんでゆーちゃんは柚邑の服を着てるのかな?」
…しまった。