妄想世界に屁理屈を。
「なんかー、その好きな人に褒められた帽子をずっと被ったりしてますよ?」
「え?」
「心あたり、ありません?」
かああ、と音がきこえそうなくらいの早さで、顔が赤くなっていく。
「あ…」
「百瀬さんが好きみたいですよ、柚邑くん」
雪が降りそうな寒さの中。
俺は妹の仮面をかぶって、遠い遠い告白をした。
「ありがとうございます!」としきりにお礼をいう百瀬の顔が、
なんだか、にやけてて。
あ、俺、今百瀬とおんなじ気持ちなんだ
そう思うと、また嬉しさが湯水のように体内を満たしていく。
まずは、柚邑として本を受け取れなかったことを明日の朝、詫びよう。
そして告白をしなくては。
それも早急に。
早く言いたくてたまらないんだ。