わきみち喫茶


「いかがですか?」


心も体もすっきりするような一杯だった。


「…美味しいです」


心から嬉しそうに微笑む女性に、こちらも自然と笑顔があふれる。


「これは、レモンティーですか?」


女性はいたずらっぽく笑って答えた。


「これは、ジンジャーレモンティーです」


ジンジャー…生姜入りのレモンティーということだろうか。


「アッサム紅茶に天然のレモンフレーバーと刻んだ生姜をたっぷり入れて、隠し味にオレンジピールを少し」


楽しげに話す女性の声を聞きながら、もう一度カップの中身を口に含む。
ピリっとした生姜の苦味がクセになりそうだった。


「もし差し支えなければ、お聞きしてもよろしいですか?」


カップから口を離して女性を見つめる。

変わらない笑顔ではあったが、先ほどとは違う真剣な色が瞳に宿っていた。
ソーサーにカップを戻して居住まいを正し、女性の言葉に聞き入る体制に入る。
それを見て女性は口を開いた。
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