召しませヒメの甘い蜜
彼の手の中には一冊のファイルがあった。
「どうやら二人には接点があるらしいんじゃ」
総一郎は嬉しそうにファイルのページを一枚ずつ捲った。
「なかなか良い娘らしい」
ホテル住まいの味気ない部屋も、こうして二人の未来を想像すると明るくなる。
あの頑固な孫息子をどう引き込むかを考えると、楽しくもなる。
「まぁ、ここからがわしの腕の見せ所じゃな。
二人共、楽しみに待っといておくれ」
そう言って総一郎は杯を飲み干した。
「わしがあと、二十若けりゃなぁ」
酔いも手伝ってか、男としての総一郎の本音が漏れた。