君の背中を見つめる恋
あたしが返事をすると
中山くんは先に教室へ戻って行った。


「………あいつ、あたしのこと無視?」

「え?」

「あたしのこと無反応だった」

「そう言えば…」



気にくわないとでも
言いたそうな夕里に、

あたしは苦笑い。


「香乃のことは覚えといて、あたしのことは覚えていないの?」


それは違うよ…

あたし達にはあの事があるから。

だから中山くんは
あたしを覚えていただけ。


「早く教室戻ろ!」

「…ねぇ、香乃いいの?」

「何が?」

「中山と…、話して大丈夫?」

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